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手裏剣税理士のIT関連雑記帳
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J-SaaSは鳴り物入りの国家プロジェクトとして会計システムベンダー(メーカー)を巻き込んで実施されている施策ですが、表向きに語られている奇麗事のメリットの裏にさまざまな背景や事情(デメリット)があって、あまり前向きには評価できないというのが私の実感です。

[J-SaaSの料金]

たとえば料金の取り方ひとつとってみても、利用者(ユーザー)ではなく、明らかにベンダー(メーカー)側に配慮した施策になっていることに注意が必要です。

会計システムなどというものはよほどの法改正がない限り数年間はバージョンアップなどしなくても使い続けることができますし、本来はそうあらねばならないものだと私は考えています。

ベンダー(メーカー)もそのあたりは考えていて、会計システムを単体のパッケージソフトとして売る場合はバージョンアップ版を出してもなかなか買い換えてもらえないから、安くても20万円とか、ま、言ってみれば高めの価格設定にしているわけです。

ただ、そういった高めの価格設定にすると小規模事業者には受けが悪くなかなか買ってもらえないというジレンマもあり、結局は値段を下げて、そのかわりに機能を限定したバージョンを作ってみたり、必要がなくても毎年バージョンアップをしてみせたり、挙句の果てにはサポート料とバージョンアップ料をセットにして、サポート料を払えば毎年のバージョンアップ料は無料だなどと言って何となくお得な感じをかもし出し、本当はほとんどの企業で不要な「サポート料」の名目で毎年のバージョンアップ料をせしめようとするビジネススタイルが増えていたりするわけです。(賢いユーザーはこういった無駄なサポート料は払わず、OSが変わるとか、大きな法改正があったとか、そういった場合に限って買い換えています)

さて、ここでJ-SaaSを考えてみるとどうでしょうか?

バージョンアップ料でもなくサポート料でもなく、あくまでも毎月の使用料だという位置づけなので、バージョンアップやサポートなどの有無にかかわらず毎月定額のお金が安定的に入ってくる仕組みになっています。

つまり、ベンダー(メーカー)にとっては非常においしいシステムだということに気づきます。

(余談)

一部のいわゆる専用機メーカーもソフトの購入費(導入費)を支払わせた上に、このような形でユーザーから「使用料」や「サポート料」をとっていますが、個人的にはこのような料金設定は「ぼったくっている」としか思えません。特に「サポート料」なんてよく請求できるな!というのが正直な感想です。

考えてもみてください。

「サポートが必要なソフト」なんてものは本来は「欠陥商品」以外の何物でもないのです!

操作方法がわかりにくく、マニュアルがお粗末なのを棚に上げて「何かわからないことがあれば電話やメールで24時間サポートします!ただし有料で」なんてことを言うのはおかしいでしょう?

そんなサポートは無料でやるべきです。でなければわざと操作方法を複雑で難解なものにし、マニュアルの記述を不十分なものにすることで、サポートを受けなければ業務が進まないといった状況にユーザーを追い込み、結果としてサポート契約で余分な金をふんだくるといったマッチポンプができてしまいます。

皆さん、何も考えずにサポート料払ったりしていませんか?

操作方法やマニュアルの不備はどんどん改善要求(というよりクレーム)を出して改善させないといつまでたっても問題は解決せず無駄金を貢ぐことになりますので重々ご注意下さい。

[J-SaaS施策の裏側?]

J-SaaSでは国内の主要会計システムベンダーに声をかけてJ-SaaS向けのシステムを開発してもらっていますが、たぶんそれには理由があります。

J-SaaSのサーバーには全国から何万件もの事業者がアクセスして会計処理をすることが想定されているので、当然、そのサーバー設備は大規模なものになりますし、その保守などもそこいらの小さな通信事業者には手に負えません。

誰がこの巨大なシステムを設置し動かすのかといえば、それはいわゆるITゼネコンと呼ばれる日本の巨大電気通信事業者や電機メーカーだと考えられます。

普通のパソコンにスタンドアロンでインストールする会計ソフトなら下手すれば個人事業者の私でも事業化して参入することができますが、J-SaaSのような大規模なインフラが必要なシステムにしてしまうとインフラ部分はITゼネコン以外は誰も参入できなくなりますし、結果として会計システム部分もそのインフラを担っているITゼネコンに近いシステムベンダーしか参入できなくなります。

これは事実上の参入規制です。

いろいろもれ伝わってくる情報などからすると、元々は一部の会計システムベンダーとITゼネコンだけがもうかる仕組みにするつもりだったようです。

経済誌でそのあたりを追求され批判されたことなどを受けて、参入したい業者には広く開放していますよというポーズをとるために、国内の主要な会計ソフトベンダーにも一応声をかけたというのが実態ではないかという気がします。

特定のITゼネコンに金(それも税金!)を流し込んで天下っていこうとしている官僚の考えそうなシナリオだなというのが私の率直な感想なのですが、みなさんはいかがお考えでしょうか?

[税理士とJ-SaaS]

J-SaaS担当の経産省だかなんだかの役人さんは「J-SaaSは従業員20名以下の小さな会社を対象としているので税理士さんが対象としているような会社は対象に入っていません。」などとのたまって電子申告まで繋げてやっちゃおうとしていたらしいです。

ほめ殺しなのか本気なのかよくわかりませんが、もしも本気なら実態をわかっていないし、確信犯なら万死に値する、というのが正直な感想です。

そもそも、J-SaaSは電子申告で利用しているXBRLを拡張して電子帳簿を丸ごと提出させようとするGL(General Ledger)の延長線上にあるものだとも言われています。(簡単に言うと国(官僚)が民間データを押さえるために利用する恐れがあるということです)

情報は漏れたらおしまいで取り返しはつきません。国や業者には守秘義務があるとか個人情報保護ポリシーを策定している、なんてことを言ってみても屁の役にも立ちません。

インターネット上の通信は暗号化して安全にやりとりしているつもりでも、実際にデータが格納されるサーバーにバックドアと呼ばれるのぞき窓が仕掛けられていたり、サーバーが設置されている部屋に入ってデータを物理的にコピーすることができるといった状況であれば秘密などないも同じです。

そもそも、どこの誰が管理しているかわからないサーバーに大事な会社の帳簿データを置くなんてことは私個人的には考えられないことです。お客さんにももちろん勧められません。こんなものを推進するなんて正気の沙汰ではない!というのが正直な感想です。

[閑話休題]

てなわけでJ-SaaSは表向きはなんだかよさげな話ばかりをしていますが、いろいろ問題があるということを知っておく必要があるかと思います。

ま、この話が杞憂で笑い話になればそれはそれで結構な話なのですが、株券の電子化なども考えようによっては国が個人の財産を把握しやすいように(課税や統制がしやすいように)するための施策の一環であると考えることもできるので、今後の税制などの動向はよく見ておく必要があるかと思います。
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